日曜美術館メモ2007.4.8

新シリーズとして始まった「新々?日曜美術館」の第1回。檀ふみさんの相方を勤めるアナウンサーが黒沢保裕氏に代わった。

数学者の藤原正彦氏がゲストとして出演し、福田平八郎(大分県生まれ)の日本画作品について語った。

藤原氏が若き折、尊敬する岡潔(数学者)による「数学には欧米型の(論理的)発見と日本型の(情緒的)発見とがある」との言葉に出会い、日本型の物の見方の実例として福田平八郎の作品に出合った。

藤原正彦氏は、新田二郎と藤原ていの間に生まれ、ハーバード大で数学と格闘したとのこと。最近では小川洋子さんとの共著「博士の愛した数式」が有名ですね。

作品の例としては最初に、庭石に軽く降り積もった淡雪を詩的に描いた「雪」を紹介。そこから、福田平八郎の作品は和歌ではなく、見たものをさらりと切り取る俳句の世界である。絵はそもそも音楽よりも和歌よりも俳句に近いと。
日本が数学に強いのは(優れた数学者が多数出ていることを指すと思う)、俳句のような情趣を重んじる、楽しむ心があるからだと。

フランスも数学が強いが、彼らは抽象化一本やりで進む。英国や日本の数学者はそれはできず、自分の身の回りにある具象に根ざした抽象化をやる。

写実と抽象の間を行く。

他の作品として、好きだった釣りの合間に、湖面が風で静かに揺らめく様を抽象的なフォルム(しかし、光が上手く表現できている)としてシンプルに描いた「漣(さざなみ)」?。日本人はこのように、一部を描いて広い湖面を思い起こさせる技(方法)に巧みだ、と藤原氏からの発言。