日曜美術館メモ2007.7.15「小磯良平」

戦争画が生んだ名作小磯良平"斉唱"誕生の秘密」という副題。
神戸が生んだ偉大な画家である小磯良平画伯が、従軍画家として中国の戦地で描いた絵と、制服の女子学生が唱歌か賛美歌?を歌っている群像を描いた"斉唱"とは全く異なる雰囲気の作品、という前提で話しが進められた。

しかし、5,6人を超える人々による合唱というものには既に本質的に軍事、軍隊に通じる何かをいつも感じる。特にセーラー服などの制服を着用の姿は特に。足並みを揃えて突き進む姿の連想からなのか。おそらく、一つの共通した目標に向かって一糸乱れぬ歩を進める、という共通点からなのだろう、と思われる。

少し考えすぎかも知れないが、"斉唱"という作品は、戦意高揚の目的で描かざるを得なかった戦場画と、戦後の平和な生活を描いた群像との、丁度中間の空白を埋めるべく描かれたように思われてならない。つまり、戦場画については何も語りたくないとコメントしておられたにも関わらず、やはり戦場画と平和な群像とを彼の中では、作品の価値自体としては、同列に置きたいと願ったからではないだろうか。