2006.11.19付けの日曜美術館メモ=浦上玉堂について

 岡山県立美術館の守安学芸課長と、坂田進一氏=琴の演奏家が出席。
 浦上玉堂は、いつも七弦琴を傍においた。琴(きん)と言えば七弦琴を指すらしい。琴(きん)は武士の文人の嗜みであった。「山澗読易」の生活に憧れた。演奏を愛した。作曲もしている。
 気ままに描いているだけだから、画家と呼ばれるのは恥かしい、という気持ち。素人の頂点という意識だったのではないか?
 絵画作品は生誕地である岡山県立美術館に多く収蔵。300点の殆どが山水画。浅図の橋?、山中結ろ図?
浦上玉堂は、武士で鴨方藩大目付にも任じられていたが、書画や音曲に心を奪われており、勤めは上手く行っていなかったらしい。いつか破綻するのではと周囲も感じていた。山中幽谷に一人で暮らしたいが、情況が許さない、と絵に気持ちを託す日々。
 遂に50歳で2人の子を連れて脱藩(池田家履歴略記に記されている)。当時の岡山では脱藩はお咎めなし。
東雲篩雪図(国宝)はすごい=会津での酷寒の体験に基づく。すばらしいリズム感がある(私見)。琴を弾く指のリズムと関係があるだろう(坂田氏)。
加藤祥造氏=自然に接して生活する墨彩画家は、浦上玉堂について、大自然の中では僅かな存在であった人間と いう世界観を持っていただろうと。
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付録:藤島武二の「黒扇」は余韻が良いと(塗り込めてしまわぬ余白的な処理のこと)。
ダニエル・オストの花=京都の東寺で展。
来週は大竹伸朗
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ソーラー版画は玉堂風の墨の薄さにバリエーションのある画面を中心に試みる。諧調が表現できるのか?鉛筆画も。